革靴の豆知識

革靴・靴磨きという趣味の沼性について考える

革靴沼・靴磨き沼の深淵たる所以と浸かり方
小野
「沼」というネットスラングを聞いたことがありますか

本日は「革靴」と、それに付随することの多い「靴磨き」という趣味について、その沼性の高さを考えてみたいと思います。

「沼」とは

「沼」とは、ある特定のジャンルにどっぷりと浸かってしまい、抜け出せなくなる様を言います。

もちろん自然界の「沼」ではなく、ここではネットスラングとしての「沼」のことを言っています。

いわゆる趣味の領域において、ジャンル問わず深く追求する余地のある趣味性の高いものについては、例外なく「○○沼」と呼ばれ、ネット上で恐れられています。

「沼」の用法、実際の用例

あまり聞きなれない単語だと思うので、まずは「沼」の用法をご紹介します。

例えば、スマホゲーム(ソシャゲとか)にハマっている人なら

ネトゲ沼でマジ溺死しそう・・・
スマホに溺れる人
スマホゲーム中毒者

一眼レフカメラを趣味としてやってみようか迷っている人なら

カメラ沼(レンズ沼)が怖すぎてなかなか踏ん切りがつかない・・・
旧型のカメラ好き
新しいカメラが欲しい人

こんな感じに用いられます。

わりとネガティブ寄りな感じで、自虐的な用いられ方をすることが多いです。

他にも、ズブズブと趣味にハマっていくさまを「沼る」「沼ってる」とか言います。

実際の用例:Twitterから転載

実際にTwitterで「沼」について言及している投稿をいくつか紹介します。

革靴・靴磨きという趣味の沼性の高さ

今回考えたいのが、

  • 革靴
  • 靴磨き

これら2つの趣味の沼性の高さについてです。

最初にお伝えしておきますと、ぼくも見事にこの2つの沼に浸かっております。

浸かり具合としては

小野
下半身浸かったくらいかな

なんて個人的には思っています(人から見たらどうかわかりませんが)。

「革靴沼」が人を引きつける3つの理由

革靴・靴磨きという趣味は、なぜこれほどまでに人を引き込むのでしょうか。

まだ沼に浸かりきっていない未熟者ではございますが、ちょっと考えてみました。

まず「革靴沼」が人を引き付けるのには、大きく3つの理由があると思います。

革靴沼が人を引き付ける理由

  1. 経年変化
  2. 美しさ
  3. 高揚感

理由① 経年変化 ~「育つ」「味が出る」とかいうマジックワード~

小野
個人的に一番でかいのはこれじゃないかなと思います

男って「育つ」「味が出る」みたいなものが好きじゃないです?

例えばこういうの。

男がハマりがちなもの一覧

  • レザー製の名刺入れ、財布
  • 真鍮製の食器など小物類
  • ワイン、ウィスキー

ともに同じ時間を過ごす。その年月に応じて、大切にすればするほど応えてくれる愛すべきモノたち。

こういうものの魅力に取りつかれる人って、特に男性にめっちゃ多いですよね。ぼくを含めて。

革靴はまさにこれが当てはまります。

新品のときはシワひとつ無く、履くと毎回靴ずれする。
めちゃめちゃ痛い。出血することもある。

でも履いているうちに、「おや?」って瞬間が来る。

それ以降、革が徐々に自分の足に馴染んでいき、最終的にはミラクルフィット。
分厚い靴下を履いているかのような歩き心地、自分の足と一体化したようで素晴らしい。

その時、靴は新品のときとは全く違う姿になっている。
シワが入り、靴底が沈み、爪先には細かい傷が入っている。

その、自分の足に馴染む過程でできたシワや靴底の沈みが愛おしい。
1つ1つの傷にエピソードが生まれる。

こういう感じじゃないですかね。
靴好き以外の方でもわかるように言えば

最初は冷たかった美しい女性。
勇気を出して声をかけるも、うまく盛り上げることができない。
LINEのやり取りもどこかつっけんどんな気がする。
それでも諦めず、話しかけていく。
どうにかして食事に誘う。

そうしているうちに、ある日、初めてデレた女性。
誠実に、大切に付き合っていき、やがて結ばれる。

一緒の時を過ごすうちに
「あれってどうしたっけ?」
とか適当な会話でも意思疎通できるようになる。

シワや白髪が出てきても、若いだけの女性よりもずっと美しく、愛おしい。

こんな感じ。

特に美しい靴であればあるほど、足に馴染んだときの達成感がすごい。

高嶺の花と言われる女性を口説き落とす感じにたぶん似てます。

口説き落とせたことないから知らんけど。

理由②:美しさ ~身に着けられる美術品~

ちょっと言い方が悪いかもですが、革靴って「踏みつけることができる唯一の美術品」じゃないですか?

小野
職人たちがつくり上げる靴には美術品と同じ美しさを感じます

絵画や彫像、何でもいいんですが・・・

美術品って、何というかこう・・・「肉感的」というか、「美しさとエロスが同居した何か」がありません?

小野
それをね、革靴にも感じるんですよ

(以前、家の玄関で靴見てたら不意に「エッロ・・・」って口走ってしまい、それを見た嫁にドン引かれるという事がありました)

お金持ちの方って、美術品を集めがちじゃないですか。ZOZOの前澤社長とか。

ぼく自身は低所得者のド貧民なのでわかりませんが、美術品をコレクションする心理って、所有欲や手にしたときの高揚感みたいなものあるんじゃないかと思うんです。

革靴に関しても、それと同じことが言えるんじゃないかなと。

ただし、美術品とは違って

  • 履ける(実用的)
  • 頑張れば手に届く(最高級靴でも20〜30万)

みたいな特徴がある分、庶民でも手を出しやすいですしね。

理由③ 高揚感 ~身に着けたときのヤバイ高まり~

「自分好みに育った」「美術品とも呼べる」、自分だけの靴。

こんなもん身につけた日には

小野
高揚感はんぱない

革靴沼に片足突っ込んでる方はもちろん、ファッションがお好きな方はわかると思うのですが。

お気に入りの靴(服)を身に着けてるときって、すっごいワクワクするんですよね。

小野
おれ、今めっちゃいい靴履いてる!

みたいな。

これが癖になる。

たぶんドーパミンとかそういう何かが脳からダダ漏れてる

「靴磨き沼」が人を引き付ける3つの理由

さて、続いて「靴磨き沼」についても考えてみましょう。

靴磨き沼が人を引き付ける理由も、大きく3つかと思います。

靴磨き沼が人を引き付ける理由

  1. 達成感
  2. コレクション性
  3. 職人化

理由① 靴磨きで得られる達成感

部屋の掃除が好きな方とかはわかるんじゃないかと思います。

たまに部屋を大掃除してめっちゃきれいになると気持ちいいですよね。

小野
あれと同じ

しかもすでに解説した通り、革靴には「経年変化による美しさ」「美術品的な(肉欲的な)美しさ」というおまけが付いてます。

靴磨きをしてキレイになった革靴を見ると、脳から何か良くない物質がハンパなく漏れてるのを感じます。

小野
達成感を超えた何かを感じる(狂気)

理由② コレクション性

靴磨きに必要な道具って、大きく分けると

  • ブラシ
  • クリーム

主要なのはこの2つ。

こいつら、1つ1つが安いんですよ。せいぜい1つ数百円〜2千円くらい。

小野
手を出しやすい価格!!!

しかも厄介なことに、それぞれ使い心地が全然違うんです。

小野
使ってみたくなっちゃう!

クリームとかわかりやすいです。

一番高いものでも2000円とかです。

「黒の靴クリーム」だけでもものすごい数があるうえ、それぞれ特徴まで違う。

色違いまで合わせたら、何千種類あるんでしょうね。

こういうの、男特有のコレクター魂をくすぐるわけです。

所有欲をそそられるデザイン性の高いパッケージも多いですし。

「自分の靴に合うクリームを探す」という大義名分のもと、今日も東急ハンズで靴クリームを追加購入するんです。まだ今使っている同じような色のクリームがあるのに。

理由③ 職人化

たくさん購入した靴磨き用品。
次にやるのは、当然、それで靴を磨くことです。

その時、

小野
今日はこのクリームにしてみよう
小野
この靴は〜〜〜な革だから、こっちのクリームのほうがいいかな
小野
気温が低めだし革が乾燥してそうだから、素手でしっかり塗り込んであげよう

とかやり始めるんですよ。

気分はさながら靴磨き職人。

靴それぞれの特徴や現在の状態を読み取って、オーダーメイドの靴磨きをお届けするスーパーな職人です。

で、上述のとおり、磨き終わった後に襲い来る達成感。

小野
おれ、すげーんじゃね?

そう錯覚を起こすには十分です。

ふとリサイクルショップで目にした、2〜3千円とかで売られてるこ汚い中古革靴。

小野
おれなら、復活させられる!

こうです。

革靴沼・靴磨き沼にハマる黄金?パターン

最後に、革靴沼・靴磨き沼にハマる黄金パターンをご紹介します。

① ちょっといい革靴を手に入れる

きっかけは様々です。

ちょっと良い靴を買いがちなタイミング

  • 節目の年齢(30歳になるとか)
  • 昇進
  • 結婚式(自分、友人含む)

この辺が代表的でしょうか?

だいたい、2万円代くらいの靴をこのタイミングで購入します。

いい靴買ったった♪
小野

ウッキウキです。

この段階では

自分にとってはこれがマックス。これ以上高級な靴は必要ない
小野

とか思ってます。この時だけです。

② 靴磨きセットを購入

せっかくいい靴買ったんだ。手入れしなきゃ。(使命感)
小野

①の靴を購入とほぼ同タイミングで初めての靴磨きセットを購入します。

必要なものが全部詰まった3〜6千円くらいのお得なセットです。

③ 「ローテーション」の概念を知る

意気揚々と靴磨きについて調べます。すると

ゴミ捨て場の本棚
某ブログ
最低でも3足でローテーションしないと靴の寿命が縮む

という金言に出会います。

下駄箱
何足必要?履く頻度別・そろえるべき革靴の数と種類を徹底解説【具体例付き】

続きを見る

あと2足必要なのかよ
小野

ちょっとげんなりします。

しばらくは今まで履いていた靴も使い、2足のローテーションです。

④ 2足目の購入。そしてなぜか3足目も。

どうせ必要だしね。
小野

つって、「しょうがないなぁ〜〜〜」って感じで2足目の「ちょっといい靴」を買います。

このとき「これ以上高級な必要なし」とか思ってたのに、1足目よりだいたい5千円〜1万円くらい高めの靴を購入します。3万円代前半くらいの靴です。

これで3足ローテーションが揃いました。

しかし、問題が発生します。

  • 今までのくたびれた靴
  • 1足目に買った良い靴
  • 2足目に買った良い靴

この3足でローテーションすると、「今まで履いていたくたびれた靴」の日のテンションが下がります

どうせ最初、買い換えようと思ってたわけだし
小野

こう自分に言い訳し、3足目の「ちょっといい靴」の購入決定です。

しかもまた5千円くらい予算アップします。3万円代後半です。

おめでとうございます。
沼に浸かるまですぐそこです。

⑤ 靴磨き用品を買い足す

2足目、3足目と購入するとき、だいたい1足目とは違う色を購入します。

だから調べます。お手入れについて。

そこで出会ったWebサイトにはこう書いてあります。

ゴミ捨て場の本棚
某ブログ
補色効果があるので色付きクリームがオススメ
ゴミ捨て場の本棚
某ブログ
靴の色ごとにクリームを分ける
ゴミ捨て場の本棚
某ブログ
クリームの色ごとに豚毛ブラシを分ける
初心者向け靴磨きのやり方
【初心者向け】圧倒的に正しい靴磨きのやり方【保存版】

続きを見る

せっかく手に入れた3足の「ちょっといい靴」。

たかだか1000円の靴クリームを妥協して、台無しにするなどありえません。

ええ、買います。
靴ごとに「靴よりもちょっと薄めの色のクリーム」を買います。
それ用のブラシも買います。

ちなみにこの頃、磨いていくうちに

  • 1足目のちょっと良い靴
    (2万円台)
  • 3足目のちょっと良い靴
    (3万円台後半)

この2つの質の差に気づき始めます。

すでに足首くらいまで沼に入ってます。

⑥ 雨用の靴が欲しくなる

「ちょっといい靴」が3足揃い、靴磨き用品もあらかた揃った。
ここでちょっと満足します。

ただし問題が1つ。雨の日です。

雨の日に履くことに抵抗を感じます。感じますが、3足しかありませんので、履かざるを得ません。

でもある日、気づくんですね。

雨用の靴があれば解決するんじゃ・・・?
悪魔
悪魔

頭の中でささやき声が聞こえます。

「ちょっといい靴時代」以前の、1万円台までの靴に戻ることはできません。

何故かパラブーツのシャンボードとかが候補に上がり始めます。

もう膝上まで浸かってます。

⑦ 沼に浸かる。5〜9万円代の靴の世界へようこそ

雨用の靴や、普段の靴の買い増しをしていくうちに、フィッターさんが持ってくる5〜9万円代の靴。

高すぎます。ちょっと前までの自分ならありえない選択肢です。

でも、もう気づいています。

2万円台の靴より、3万円台後半の靴のほうが明らかにいい靴です。

5万円の靴は、間違いなく一生履いていけるほどの質の高さに違いありません。

履いてみたら、これまでにないフィット感。

本当に正しいフィッティングって、こういうことか
小野

よくわからない悟りを開きます。もう止まれません。

自分の足に合ってるし・・・
小野
一生モノだし・・・
小野

出ました。「一生モノ」。マジックワードです。勇気が出ます。

この大義名分のもと、清水の舞台から飛び降ります。ダイブした先は沼ですけどね。

下半身は完全に浸かりました。

小野
ぼくは今ここです

⑧ もう戻れない。10万円オーバーの靴の世界、こんにちわ

  • JOHN LOBBのCITY Ⅱ
  • JM WestonのDOVER
  • ALDENのVチップダービー

この辺の情報を目にするたび、

いつかは・・・!
小野

とか思います。憧れです。

安心してください。たぶん1年後には持ってます

(いや、1年後のぼくはきっとまだ持ってない・・・たぶん・・・)

まとめ

ちょっと揶揄するような書き方になってしまった部分もありますが、全部ぼくのことです。←

なお人によっては、これらの過程に加えてヴィンテージシューズの魅力に囚われたりもします(これもぼくのことです)。

ここまで読んでしまったそこの貴方。
まだ革靴と靴磨きの沼に浸かってないという方もいらっしゃることでしょう。

でもね。

まだ気づいてないかもしれませんが、もう片足突っ込んでますよ。

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