今回はこんな疑問にお答えしていければと思います!
ぼくは革靴きっかけで革製品の魅力にどっぷりつかったサラリーマン。革の手入れ歴は10年を軽く超えます。
ブライドルレザーの財布を使っていて、お手入れも欠かしません。おかげで使い始めて丸7年ですが、まだまだ現役です。
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こういった経験をもとに、ブライドルレザーの特徴と手入れ方法についてご紹介できればと思います。
ブライドルレザーとは
まずは簡単にブライドルレザーの基礎知識をご紹介します。
ブライドルレザーの基礎知識
- イギリス発祥の馬具に使われる革
- 1年半以上の時間をかけてつくられる
- 油分とロウ分を何度も塗り込む
ブライドルレザーの基礎知識① イギリス発祥 馬具に使われる革
ブライドルレザーはもともと、馬具に用いられた革のことを指しています。
馬の顔周りに装着する「ブライドル」という馬具が名前の由来だそうです。
イギリス発祥の革で、1000年以上も昔から作られてきた非常に歴史のある伝統的な製法の革です。
ブライドルレザーの基礎知識② 1年半以上かけて牛革からつくる
動物の「皮」から、財布などをつくるための「革」をつくるためには、「鞣し(なめし)」という加工をする必要があります。
この「鞣し」にはいくつか種類があるのですが、ブライドルレザーは「タンニン鞣し」という方法でつくられています。
しかもブライドルレザーは「ナチュラルタンニン鞣し」という、特に手間のかかる伝統的な製法でつくられます。
ブライドルレザーの基礎知識③ 油分とロウ分を何度も塗り込む
さらにブライドルレザーはタンニン鞣しの後、油分とロウ分を何度も塗り込みます。
この工程を経ることで、ブライドルレザーには他の革にはない頑強さが加わります。
ブライドルレザーの5つの特徴
次に、ブライドルレザーならではの5つの特徴をご紹介します。
ブライドルレザーの特徴
- ブルーム
- とにかく頑丈
- 水への強さが変化
- 経年変化は最初だけ
- メンテナンスが比較的楽
ブライドルレザーの特徴① ブルームがある
革に大量に塗り込まれた油分・ロウ分が浮き出て結晶化したものです。
上の画像の財布は本来真っ黒ですが、少し白みがかってますよね。こんな感じで、革の上に白いモヤがかかったような見た目になります。
ブルームは使っているうちに取れて無くなっていきます。ほとんどの場合、1か月ほど使えばキレイに落ちるでしょう。
ちなみに、ブライドルレザーをつくった会社によってはこのブルームが最初からなかったりします。その点は後ほど解説します。
ブライドルレザーの特徴② とにかく頑丈で長持ち
馬具に用いられていたことからもわかる通り、とにかく頑丈です。
昔は【落馬=死】みたいなこともあったので、それを防ぐために頑丈さが求められました。革の奥深くまで浸透した油分・ロウ分により、革の繊維が引き締められ、かなり強固な革になります。
とにかく頑丈なので、大切に使えば5年、10年と浸かっていくことができるのがブライドルレザーです。
ブライドルレザーの特徴③ 最初は水に強いが、徐々に弱くなる
ブライドルレザーは油分・ロウ分が大量に塗り込まれているので、最初はとても水に強いです。多少の水や汚れなら簡単に弾きます。
しかし、表面のロウ分は徐々に取れていきます。
それに従い、徐々に水には弱くなると思ってください。
それでも他の革よりは水に強いですけど、ある程度の注意は必要です。
ブライドルレザーの特徴④ 長期的な経年変化は少な目
- 買ってすぐのブルーム付きの姿
- 買って1年後のブルームが落ちた姿
この差は大きいです。
余分な油分・ロウ分が落ちることで、深い光沢が出てきます。
でも
- 買ってから1年後
- 買ってから5年後
この差はほとんどないと言っていいです。
上の画像は、実際にぼく7年使ったブライドルレザーの財布です。ブルームが落ちてからは(小さな傷が増えたこと以外)、ほとんど経年変化が見られません。
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ヌメ革のように徐々に黒ずんできたりすることもないので、長くキレイな状態を楽しめると言えるでしょう。
ブライドルレザーの特徴⑤ メンテナンスが楽
ブライドルレザーはもともと油分・ロウ分を大量に含むため、それほど頻繁に補給する必要がありません。
利用状況にもよりますが、お手入れは数か月~1年に1度くらいで大丈夫。他の革に比べるとかなり楽ですね。
ブライドルレザーの偽物に要注意
ブライドルレザーって、特に財布やベルトが最近すごく人気ですよね。
偽物が多く出回っているので、注意が必要です。
偽物は表面にロウを塗っただけ
偽物は安物の革にロウを塗っただけで、革の張りや固さ、風合いが大きく異なります。
他の動物の革や人工皮革を使用したものもあるので注意してください。
「ブルームが無い=偽物」ではない
例えば、アメリカのハーマンオーク社という有名タンナーでつくられるブライドルレザーには、製法的にブルームがありません。
※ タンナー:革の製造会社のこと
また、中古の場合など、つくられてから多少の時間がたっているとブルームが消えてしまっている場合があります。
こういったことがあるので、ブルームが無いからと言って偽物とは限りません。
タンナーを確認して買うのが安心
ブルームの有無だけで偽物かどうかを判断できませんので、素人が見分けるのはかなり難しいです。ぼくもたぶん無理。
そんな時は、タンナーを確認して買うのが安心です。
財布やベルトなど、使われている革をつくったタンナーを明記してある製品の中から選びましょう。
日本で使われているブライドルレザーは多くが英国製。特に以下の6つのタンナーが有名です。
英国の有名タンナー
- J.ベイカー社
- クレイトン社
- セドウィック社
- メトロポリタン社
- トーマスウェア社
- グレードレザー社
このうちのどれかでつくられている革を使っているなら、信頼して大丈夫だと思います。
ブライドルレザーの手入れ方法
それではいよいよ、ブライドルレザーのお手入れ方法をご紹介します。
- 毎日の手入れ
- 買ってすぐの手入れ
- 数か月に1度の手入れ
これらをそれぞれ解説します。
毎日の手入れはからぶきのみ
毎日手入れをすることでキレイに使える期間が飛躍的に伸びます。
手入れといっても、からぶきするだけ。
キレイな布で全体を拭けば完了です。追加でブラッシングするとさらに完璧です。
買ってすぐのお手入れはブラッシングとからぶき
買ってすぐの場合は、ブラッシングとからぶきをしましょう。
ブラッシングは馬毛ブラシで行います。オススメの馬毛ブラシを以下の記事で紹介しているので、参考にしてください。
普通に使っていればブルームは取れていきますが、気になる方は特に念入りにブラッシング・からぶきをすると目立たなくなります。
数か月に1度はクリーム・オイルで手入れ
数か月に1回くらいは、クリームやオイルを使って油分・ロウ分を補給しましょう。
やり方はこんな感じ。
クリーム・オイルを使った手入れ
- ブラッシング
- クリーナーで拭く
- クリームを塗り込む
- 時間をおいて休ませる
- からぶきで磨き上げる
詳しく解説します。
数か月に1度のお手入れ手順① 馬毛ブラシでブラッシング
馬毛ブラシでブラッシングします。ホコリがたまりそうな細かい部分は特に丁寧にやりましょう。
撮影の関係上置いてブラッシングしてますが実際には手に持ってやってください。
ちなみに財布の手入れをする場合は、中身を全部出すと良いです。
数か月に1度のお手入手順② クリーナーで拭く
汚れ具合にもよりますが、クリーナーが無ければ水拭きでも大丈夫です。ただ財布って意外に皮脂とかで汚れてるので、できれば数か月に1度はクリーナーでキレイにしてあげたいですね。
できれば革製品用のクリーナーを使って拭き上げてください。「ステインリムーバー」という製品が有名です。
オススメは以下の記事を参考にしてください。革靴のクリーナーですが、革製品であればなんでも使えますし優秀な製品が多いです。
≫ 最強の革クリーナーはどれ?利用シーン別のオススメを厳選紹介
指に布を巻き、少量染み込ませて全体を拭き上げます。
数か月に1度のお手入れ手順③ クリーム・オイルを塗り込む
油分・ロウ分を補給するためにクリームやオイルを塗ります。
素手で塗ると体温で浸透しやすくなるのでオススメ。ちなみに今回はBoot Blackのリッチモイスチャーを使いました。
≫ [BootBlack]リッチモイスチャーの使い方と注意点 高頻度は危険って本当?
革靴用のオイルですが、革製品ならだいたいなんでも使えます。
数か月に1度のお手入れ手順④ 時間をおいて休ませる
クリーム・オイルを塗ったら、浸透するまで少し休ませます。
できれば半日くらいは時間をおきたいです。風通しの良い日陰で休ませてください。
数か月に1度のお手入れ手順⑤ 布で磨き上げれば完成
休ませたら、最後にキレイな布で磨きます。
こちらが手入れ前後の比較写真です。光沢が増してキレイになってますよね。
ブライドルレザーの手入れをする頻度
ブライドルレザーの手入れ頻度は製品や使い方により異なります。
外部との摩擦がより大きい・激しい使い方をしているほど細目に手入れをするものと思えばOKです。
財布・名刺入れなどの場合
ズボンのポケットなどに入れて持ち歩く方ですと2~3か月に1度が目安です。
バッグなどに入れて持ち歩く方は半年~1年に1度でOK。
ベルトなどの場合
毎日使う場合でも、半年~1年に1度手入れすれば大丈夫かと思います。
鞄・バッグなどの場合
雨の日も含めて、ほぼ毎日使うようなら2~3か月に1度は手入れをしてください。
使う頻度がそれほど多くないなら、半年~1年に1度で大丈夫です。
手入れにオススメなクリーム・オイル
ブライドルレザーは油分・ロウ分を豊富に含んだ革です。
従って、手入れについてもそれらの補給が重要になってきます。
そこで僕がオススメするのは以下の3つ。
- リッチモイスチャー
- レノベイタークリーム
- クリームエッセンシャル
Boot Black リッチモイスチャー
アルガンオイルやカルナバワックスなど、油分とロウ分を豊富に含んだオイルです。
使い方は以下の記事を参考にしてください。(革靴に使うことを前提に書いてますけど笑)
-
[BootBlack]リッチモイスチャーの使い方と注意点 高頻度は危険って本当?
続きを見る
ちなみにこの商品を販売しているコロンブスさんには「ブライドルレザークリーム」という製品があります。そのものずばりなので、こちらもオススメ。
Saphir Noir レノベイタークリーム
蜜蝋やミンクオイル、ラノリンなどが含まれるクリームです。
リッチモイスチャーよりも安いのが良いです。光沢も控えめ。
M.モゥブレイ クリームエッセンシャル
こちらも蜜蝋やラノリンが含まれています。
レノベイタークリームと違ってミンクオイルが含まれないので、型崩れのリスクがほぼありません。
まとめ:正しく手入れして長く使おう
ブライドルレザーは馬具として生まれた革ですので、かなり頑丈な革です。
それだけに、正しく手入れをすればそれだけ長く使うことができます。
繊細な革ではないので、多少の傷も味として楽しんでほしい革です。
手入れをしながら、長く大切に使ってください。