SEO・マーケティング

YMYLの転換点:WELQ問題をいまさらながら解説する

WELQ問題をいまさら解説する
YMYLの領域はSEOが難しいって聞いたんだけど、何で?
初心者ブロガー
初心者ブロガー
小野
信頼性や権威性が特に重要視される分野だからです

YMYLYour Money Your Life)「お金と健康」のこと。

解説としてはこれで終了なんですが、今回は日本のYMYLの転換点ともいえる象徴的な事件をご紹介します。

小野
たった数年前に実際起こった話

その名も「WELQ問題」

ぼくは当時もWebのプロとして仕事していました。
しかも、ぼくの専門は健康・医療分野。

小野
かなり身近でしたし、今でも記憶に新しい

これからブログやSEOに取り組む方にぜひ知ってもらいたい内容です。大きな学びが得られるかと思います。

WELQ問題とは

WELQ問題

「WELQ問題」は2016年秋に起こりました。

DeNA社が当時運用していたヘルスケア系のキュレーションメディア「WELQ」が発端となって起きた騒動でしたので、「WELQ問題」と名づけられました。

この問題によってDeNA社は

  • 守安社長・南場会長(当時)が謝罪会見
  • 運営していたすべてのキュレーションメディアを閉鎖

という対応を行い、世間から大きな注目を集めます。

小野
特にWeb業界に走った衝撃はとんでもなく大きかった

WELQのメディア運用手法

WELQのメディア運営手法

  • 社内でコンテンツ企画
  • 記事執筆はソーシャルワーカー
  • 他サイトの情報を「キュレーション」
  • 月に数千~数万本のコンテンツを公開

WELQの運用方法にはこういった特徴がありました。

他サイトの情報をまとめて記事化することでコンテンツを作成する形です。

それらのコンテンツはソーシャルワーカーを使って安価に大量生産

大量につくった最低限の品質のコンテンツで他のメディアをぶん殴る、というスタイルです。

炎上の原因となった6つの問題点

WELQの問題点

WELQ問題は非常に多くの問題が複雑に絡み合って生じた騒動です。

ここでは特に批判の多かった6つの問題点をご紹介します。

WELQ問題の主要な問題点

  1. 信頼性の無さ
  2. 各種法令違反の疑い
  3. 多数のトラフィック
  4. 媒体責任無視の無責任さ
  5. 自社で企画したコンテンツ
  6. モラルと誠意の欠けた運営

それぞれ簡単に解説します。

問題点① 記事の信頼性のなさ

WELQでは

  • 肩こりの原因は幽霊かも
  • 家系ラーメンは風邪に効く
  • ブラックシードがピロリ菌を除去

などの、とにかく信頼性の低い記事が大量に公開されていました。

WELQは「ココロとカラダの教科書」とうたっている医療・ヘルスケアメディア。

医療や健康に関わる情報は時に人の命に関わります

それなのに、医師などの専門家のチェックも通さずにこのような「トンデモ情報」を垂れ流していたことが問題視されました。

問題点② 各種法令違反の疑い

著作権法違反の疑い

DeNAはこのマニュアルで、記事の執筆時に「参考」にすべきサイトを案内している。本文をそのままコピペするのは禁止し、「文章が重複しないようにご自身の言葉でリライトをお願いします」と、引用ではなく、わざわざリライトを指示している。

引用元:DeNAの「WELQ」はどうやって問題記事を大量生産したか 現役社員、ライターが組織的関与を証言

上記は当時バズフィードジャパンが報じた記事の一部です。

DeNA社では、外部のサイトから持ってきた文章をこねくり回して独自の文章としていました。

当然、「著作権違反じゃないの!?」という批判が出ます。

薬機法違反の疑い

WELQは医療関係のトンデモ情報盛りだくさんだったので、薬機法に抵触するような記述が多数存在してました。

具体例としては「ラクトフェリンがガンの予防や放射能予防に効く」といったような記述です。

これを受け、記事に掲載されていたライオン株式会社がコメントを発表するにいたりました(現在は閲覧できません)。

問題点③ 多数のトラフィック

WELQはSEOでかなりの成功を収めていたと言っていいです。

健康系キーワードで検索すると、当時はかなりの確率でWELQが1ページ目に入ってきました。

具体的には、約1000ほどの病名で検索すると8割近くでWELQが1ページ目に表示されました。これは当時のぼくが個人的に定点観測していたデータです。

前述のようなトンデモ情報が上位表示され、非常に多くの目に触れていました。

問題点④ 媒体責任無視の無責任さ

WELQ内にある全ての記事ページの最後に、小さくこのような免責事項が書かれてました。

当社は、この記事の情報及びこの情報を用いて行う利用者の判断について、正確性、完全性、有益性、特定目的への適合性、その他一切について責任を負うものではありません。この記事の情報を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします

気持ちはわかりますが、

  • 信頼性の低いトンデモ記事を
  • しかも法令違反の疑いもあるのに
  • 非常に多数の人に見せておきながら
  • 「私は責任取れませんよ」って言う

ってどういうことなんだ!?という批判が吹き出したわけです。

問題点⑤ 自社で企画したコンテンツ

当初DeNA側が語っていた、上記の無責任な免責事項の理屈は下記のようなものです

DeNA社に責任が無いとしていた根拠

  • WELQはプラットフォーム
  • ほとんど利用者が勝手に書いたもの
  • 執筆に関わってないので責任もない

WELQには会員登録すると自分で記事を投稿できる機能がありました。

本当に利用者が独自に書いた記事であればこの理屈も通ると思います。

しかし実際にはほとんどの記事がDeNAの指示のもと作成されていたと判明します。

言い訳できるように、自社で企画したものにもかかわらず、それをわかりにくくしていたことも批判されます。

問題点⑥ モラル・誠意に欠けた運営

WELQには「死にたい」というキーワードで1位を獲得していたコンテンツがありました。

そのコンテンツの内部に、とあるアフィリエイト広告が入ってたんですね。

  • 批判される
    → 広告削除
  • 記事はそのままなの?と批判
    → 記事を非公開化(公式発表なし)
  • 何こっそり非公開にしてるの?と批判
    → 広告販売を停止(公式発表有)
  • サイトはそのままなの?と批判
    → サイト公開停止&謝罪&記者会見

こんな感じの流れでしたね。
すべての対応が後手に回り、「誠意が無い」とものすごい批判をされていました。

WELQ問題のその後

After WELQ問題

Web業界が騒然となったWELQ問題ですが、終息した後も大きな動きがありました。

多数のキュレーションメディアが閉鎖

WELQがすごい成功を収めていたので、DeNA以外にもたくさん企業が「WELQ型」のキュレーションメディアを運用していました。

しかし、こういった大問題が起きたことで、多数のメディアが閉鎖されます。

特に医療・健康系を扱っていたサイトの多くが閉鎖の道を選びました。

日本語検索アップデート(2017年2月)

そして翌年にはGoogleが日本語検索限定のアップデートを行います。

小野
特定言語のみでのアップデートは異例

このアップデートの詳細はGoogleからはあまり語られていません。

しかし実質的な「キュレーションメディア虐殺アルゴリズムでした。

思想的には2012年に行われたパンダアップデートと同じです。コンテンツ品質が高いサイトは上位表示され、低いサイトは叩き落されました。

わずかに生き残っていたキュレーションメディアもここで多くが駆逐されました

WELQ問題から学んだ3つのこと

WELQ問題からの学び

この一連の騒動でぼくらが学べることはとても多いと思っています。

ぼくはPM・Webディレクターとして、そしてマーケター・事業企画者としてWELQの凄さをひしひしと感じていました。

しかし、長くなるのでここではブログにかかわる学びを3つだけご紹介します。

  1. 独自性と信頼性
  2. マジメにやろう
  3. 責任感を持とう

学び① 独自性と信頼性

この記事を呼んでいる方なら、記事のオリジナリティ信頼性がどれだけ大切かは説明するまでもないかと思います。

このWELQ問題を通して改めて再確認できました。

学び② マジメにやろう

一言でいうと

小野
ズルしても良いことないね

これです。

真摯に良いコンテンツを創り続けるのがいかに大切かを学ぶことができました。

学び③ 責任感を持とう

自分が作成したコンテンツに責任を持つことの重要さがわかりました。

逆に、自分が責任を持てるコンテンツしか外に出してはいけないな、とも。

まとめ:WELQ問題を糧に成長しよう

WELQ問題を糧に成長しよう

この記事の執筆時点でもう4年も前のことですが、WELQ問題について改めてご紹介してみました。

最近ブログを始めたという方などは、知らない方も多かったのではないかと思います。

WELQ問題は、Webコンテンツにおける様々な問題をはらんだ騒動でした。日本のWeb業界に与えた影響はかなり大きかったと思います。

特にYMYL領域のコンテンツ作りについては、大きな転換点となったと思います。

今回ご紹介したWELQ問題から、皆さまが何か学び取れるものがあったのなら、ぼくは嬉しいです。

時系列で振り返るWELQ問題

WELQ問題を時系列で振り返る

最後にWELQ問題で具体的に何があったのか、時系列に沿ってご紹介します。

この辺は細かく読まなくても問題ないので、興味がある方だけ見てみてください。

良心的な医療サイトを始めるも撤退

2014年8月 Medエッジをリリース

2014年8月、DeNAは「Medエッジ」というサービスをリリースします。
※ 当時のURLは「http://www.mededge.jp/」ですが、現在はアクセスできません

「DeNAといえば」な創業者、南場さん自身が立ち上げを担当していたそうです。

Medエッジは、「最先端を親切に」をコンセプトに医療と健康に関する情報を分かりやすく伝えるヘルスケア特化型のニュースサイトです。病気、健康予防、特集のカテゴリごとに、独自レポートやインタビューをはじめ、海外の医学論文を消費者の視点から解説するなど、毎週20本から30本程度の記事を配信します。

引用元:医療と健康の情報を網羅した新しいヘルスケアニュースサイト「Medエッジ(メドエッジ)」 8月8日(金)から公開 | 株式会社ディー・エヌ・エー【DeNA】

このプレスリリースの通り、Medエッジはかなりまっとうな医療メディアでした。

コンテンツ内容は、医学論文を一般ユーザーに対しわかりやすく解説するといった感じです。

2015年12月頃 Medエッジ閉鎖

2015年に入って有料プランの提供とかもやっていたのですが、年末頃にMedエッジは閉鎖しました。

この時、WELQに一部の記事が移植されます(後述)。

Medエッジが「WELQの前身」といわれることがあるのは、このようなことが理由でしょう。

巨額買収とWELQの誕生、隆盛

2014年10月 MERYとiemoを総額50億円で買収

小野
そもそものきっかけとも言える出来事

たかだかキュレーションメディアが、たった2社で50億円。

この買収劇はかなり衝撃的で、ぼくを含めベンチャーやWebの業界の人間は開いた口がふさがりませんでした。

2015年10月 WELQ誕生

MERY・iemo以外にもキュレーションメディアを立ち上げます。

これがDeNAがぶち上げた『DeNA Palettte』構想です。

iemoを運営していたiemo株式会社の代表取締役CEO、村田マリさんが、DeNA Palette全体の事業責任者に就任します。

MERYだけは運営が別体制となり、買収以前と同様、株式会社ペロリ(代表取締役:中川綾太郎)が運営を継続しました。

こうして始まった4つのキュレーションメディアのうちの1つ、それがWELQです。

2016年6月〜9月 WELQが検索上位を支配

2016年6月頃を境に、WELQのコンテンツが多数検索上位に表示されるようになりました。

詳しくはここでは触れませんが、網羅性のあるコンテンツの有効性に気づいた運営側が、2016年初頭にコンテンツ制作の方針を転換したようです。

炎上、そして延焼

2016年9〜10月 プチ炎上

医学部出身のライターである、朽木誠一郎さん(@amanojerk)が、以下の記事をYahooニュース個人に投稿します。

こちらの記事にある以下の一節が個人的には印象に残りました。

1PVは1人の命と同義なのだ。発信する側の人間は、そのことを常に心に留めておくべきではないだろうか。

これに続き、辻正浩さん(@tsuj)が下記のようにをTwitterにつぶやき、話題になりました。

ちなみに辻さんは、「SEOの神」とされるインフルエンサー。

WELQの問題点をTweetをまとめる形で記事化されます。

この騒動を受け、DeNAは記事内に設置してあった広告を消す対応を取りました。

問題となった記事自体は削除・修正をせずにそのままであったため、「広告消せば良いんでしょ」的な対応で火に油を注ぐ結果となります。

2016年11月24~28日 大炎上

これがWELQを焼き尽くす業火の火種となった記事です。11月24日に公開されてすぐ、とんでもなくバズります。

永江一石さん(@Isseki3)という、とあるインフルエンサーのブログです。

また、更に4日後にバズフィードがWELQの記事作成マニュアルをスッパ抜きます。

2016年11月28日 検索結果から記事閲覧できなくなる

WELQの記事を検索結果から閲覧できなくなりました

検索結果からアクセスするとトップページに飛ばされる仕組みになっていました。

2016年11月29日 全記事を公開停止

WELQの全記事が非公開となりました。

ちなみにこれに先行して「WELQの記事広告の販売を一時停止」という報道も日経から出て、「そもそも記事を非公開にしろよ!」みたいな批判が非常に多く出ました。(今、該当の記事は読めないようです)

同日の報道でしたので、非公開化が批判を受けての対応だったのか、元々決まっていたのかは、明確にはわかりません。

2016年12月1日 社長名義の謝罪文公開、MERY以外の8サイトを停止

12月1日になって、代表取締役社長兼CEO 守安 巧(当時)の名義で謝罪文が公開されます。

その中で、これらが発表されました。

  • 守安社長(当時)の報酬減額
  • MERY以外の8サイトの非公開化

これら一連の責任を重く受け止め、経営責任を明確にするために、私自身の報酬を減額することに決めました(月額報酬の30%を6ヶ月間減額)。これにとどまらず、皆様にお約束した改善をしっかりやりきることこそが最大の経営責任であると考えております。

引用元:代表取締役社長兼CEO 守安功からの一連の事態に対するお詫びとご説明 | 株式会社ディー・エヌ・エー【DeNA】

なお、WELQも含めて停止されたサイトがこちら。
(現在はすべてアクセスできません)

メモ

  • WELQ(https://welq.jp/)
  • iemo(https://iemo.jp/)
  • Find Travel(http://find-travel.jp/)
  • cuta(https://cuta.jp/)
  • UpIn(https://upin.jp/)
  • CAFY(https://cafy.jp/)
  • JOOY(https://jooy.jp/)
  • GOIN(https://goin.jp/)
  • PUUL(https://puul.jp/)

MERYを非公開としなかった事について、同日に公開されたインタビュー記事で守安社長は下記の通り答えています。

(このタイミングで独占取材をした方も、受けた方もすごすぎると個人的に思います)

MERYに関しては組織が違うこともあり、運営ポリシー、記事の作り方も我々とは異なります。代表の中川(ペロリ代表取締役の中川綾太郎氏)にも問題がないことを確認しており、基本的には非公開措置はとらず、現状の運営方法でやっていってもらえればと思っています。

引用元:DeNA守安氏「認識が甘かった」——WELQに端を発したキュレーションメディアの大騒動  |  TechCrunch Japan

2016年12月5日 第三者委員会設置とMERYの非公開化

「MERYは非公開化しないよ!」と言った次の日から、実はMERYの記事もどんどん非公開化されていることが話題になっていました。

これを受けたものなのかどうかは不明ですが、12月5日に発表されたプレスリリースで、

  • DeNA Paletteの事業全体を調査する第三者委員会の設置
  • MERYを12月7日までに非公開化

と正式に発表されました。

2016年12月7日 3時間にも及ぶ記者会見

12月7日、DeNA社の記者会見が行われました。

参加したのは下記の3名(役職はすべて当時のもの)。

  • 代表取締役社長兼CEO 守安 功
  • 取締役会長 南場 智子
  • 執行役員 経営企画本部長 小林 賢治

3時間にも及ぶ非常に長い会見となりました。

小野
僕は生でずっと見てました

今でもYoutubeで見れるので、死ぬほど暇な方は是非どうぞ。
ログミーさんでも書き起こし全文が公開されています。

この記者会見で、いったんWELQ問題は終息を迎えました

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