革靴を買って最初にぶつかる問題がこれじゃないでしょうか。
実際、ぼくも初めて高級革靴を買ったとき、最初に悩んだのが「つま先の削れ問題」でした。
革靴のお手入れをし始めて10年。
以前のぼくと同じ悩みを抱えるあなたのために「革靴のつま先の削れ」について解説します。
結論としてはこんな感じです。
結論
- 放置はまずいので修理が必要
- 修理方法は応急処置も入れて5通り
- ゴム製靴底ならゴムで補強、革製の靴底ならトゥスチールで補強がオススメ
- ソール(靴底)が半分削れるまでには修理に出す
- 手遅れの場合は靴底の全交換。費用が跳ね上がるので早めに修理に出そう
少しずつ解説していきますので、しばらくお付き合いください。
革靴を履いてると真っ先に削れるのがつま先!
まずはこちらをご覧ください。
レザーソール(革製靴底)の革靴のつま先が削れてきたときの写真です。
白く毛羽だっているのがおわかりでしょうか。
ラバーソール(ゴム製靴底)の革靴の場合はここまで目立ちませんが、それでもつま先の削れは気になりますよね。
こちらがソール(靴底)を下から撮影した写真。
ソールを縫い付けている縫い目が、つま先部分だけ切れているのがわかりますか?
これも、革靴初心者の方にとっては不安になりますよね。
ってなりがちです。
ヒール(カカト)や、つま先以外の部分のソールは問題ないのに、何でつま先だけがこうも削れてしまうのでしょうか。
革靴のつま先が削れるのは「返り」が付いていないことが原因
真っ先に革靴のつま先が削れてしまうのは、「返り」が付いていないのが主な原因です。
「返り」とはソールの「反り返り」のこと
ここでいう「返り」とは、ソールの「反り返り」のことを言います。
ソールは地面に対し、ベタっと全面がくっついているわけではありません。
上の写真を見るとわかるかと思います。
上に向かって反り返っているのがわかるでしょうか。
「返り」が付いた革靴はつま先が削れない
「返り」がしっかり付いている靴はつま先が地面とあまり触れなくなります。
つまり「返り」が付くことで革靴のつま先は削れなくなるわけです。
新品の靴は「返り」が付いていないため削れやすい
この「返り」がどの程度付くかは靴によって異なります。
- 靴のデザイン
- ソールの素材
- 靴の製法
革靴の返りの付き具合はこれらの要素によって大きく変わるためです。
ただ共通して言えるのは、買ったばかりの革靴は返りがほぼ付いていないということです。
返りが付いていないことで、つま先がゴリゴリやられるからですね。
あとは歩き方に問題があるケースも
ぼくは専門ではないので詳しいことはわかりませんが、歩き方に問題があるケースがあるようです。
具体的には、
- 猫背気味
- 膝が曲がっている
といった歩き方をしていると、前方に重心がかかり過ぎるため、つま先ばかりが削れてしまうそうです。
高いヒールを履いた女性に多いと聞きます。
男性でも猫背な方は多いので気を付けましょう。
ぼくも結構姿勢が悪い方なので、気にしてます。
足の裏、人差し指から薬指の付け根の部分にウオノメやタコがありませんか?
そういった方はつま先が削れやすい歩き方をしている可能性があります。
気になる方は整形外科を受診するとよいかと思います。
つま先の削れ、放置するとまずい2つの理由
革靴のつま先の削れを放置していると、最悪の場合、速攻で革靴がゴミ化する恐れがあります。
理由① 革靴の寿命が縮む
つま先が削れるのを放置して履き続けた場合、最終的には靴底の全交換が必要になります。
上の画像にあるとおり、革靴のつま先は靴底全体でつながっている部分です。
したがって「つま先だけを交換」ということができません。
すべて削れてしまった場合は靴底全体を交換する必要があります。
この靴底全体を交換する修理を「オールソール」といいます。
というのを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
誤解されている方が多いですが、オールソールできる回数には限度があります。
-
「10年履ける革靴」の秘訣はソールの手入れにある!と思う話
続きを見る
こちらの記事で解説している通りです。
革靴を長持ちさせる秘訣はオールソールの頻度を減らすこと。
つま先の削れを放置して履き続けるとオールソールの頻度が極端に高まってしまうため、靴の寿命が大幅に縮んでしまいます。
理由② 見栄えが悪い
これはもう単純に、見た目がよろしくないですよね。
ラバーソールはあまり目立たないからいいものの、レザーソールの場合は
こんな感じでかなり目立ってしまいます。
カッコ悪いので、放置しない方が無難です。
つま先の削れの修理方法は大きく分けて5通り
- つま先が削れる原因
- つま先の削れを放置してはいけないこと
はご理解いただけたでしょうか。
革靴のつま先が削れた場合、修理方法は大きく分けて次の5通りです。
つま先の削れの修理方法
- ラバーで補強する
- レザーで補強する
- トゥスチールで補強する
- 見栄えだけ整える
- 靴底ごと全交換する
1つずつ解説していきます。
修理方法① ラバーで補強する
ラバーソール対応 | 可 |
---|---|
レザーソール対応 | 可 |
費用 | 1500~2500円 |
所用時間の目安 | 日帰り~1日 |
見た目 | △(ラバーソールなら◎) |
削れた分のソールをラバーで補う方法です。
そしてラバーソールの革靴の場合、ほぼこれ一択になります。
上記が、実際にラバーで補強したソールです。
つま先部分に境目があるのがわかるでしょうか?
このように、ラバーソールの革靴の場合はこれで問題なし。
見た目もほとんどわかりません。
レザーソールの革靴の場合でも、ラバーで補強できるのですが・・・
レザーソールの革靴をラバーで補強したことがないので、写真が無くて申し訳ないです。
レザーソールをラバーで補強すると、つま先だけゴム製で色も変わってしまうんですよ。
その見た目が個人的に好きになれないんですね。
最近は最初からつま先だけラバーになっているレザーソールの靴も多いので、気にする必要はないのですけど。
修理方法② レザーで補強する
ラバーソール対応 | 不可 |
---|---|
レザーソール対応 | 可 |
費用 | 2000~3000円 |
所用時間の目安 | 日帰り~1日 |
見た目 | 〇 |
ラバーではなくレザー(牛革)で補強する方法です。
レザーソールの場合、これがよりベターな選択肢かもしれません。
ただしレザーによる補強はラバーに比べて
- 価格がちょっと高い
- 耐久性が劣る
- やってくれる店舗が少なめ
というデメリットがあります。
また、もともとソールに使用されれている革とは違う革で補強します。
そのため以前と全く同じ仕上がりになるわけではない、ということは覚えておきましょう。
修理方法③ トゥスチールで補強する
ラバーソール対応 | 不可 |
---|---|
レザーソール対応 | 可 |
費用 | 2000~4000円 |
所用時間の目安 | 日帰り~3日 |
見た目 | ◎ |
レザーソールの場合、ぼくのイチオシはこれです。
耐久性がピカイチなのと、単純に見た目が好きです。
難点は
- 価格がお店により大きく異なる、基本的には高め
- 所要時間もお店や込み具合によって大きく変わる
って感じですかね。
トゥスチールについては下記の記事で詳しく解説しているのでよろしければどうぞ。
-
【革靴に必須】トゥスチールをつけるべき3つの理由と種類・選び方まとめ
続きを見る
修理方法④ 見栄えだけ整える
ラバーソール対応 | 不可 |
---|---|
レザーソール対応 | 可 |
費用 | (ヤスリのみ) 100円 (コバの手入れもやる) ~2000円 |
所用時間の目安 | (ヤスリのみ) 2分 (コバの手入れもやる) 30分 |
見た目 | 〇 |
ここまで紹介した方法は基本的に靴の修理店に持ち込む必要があります。
しかし現実には
というケースもありますよね。
そんな時にオススメなのがこの方法。
自分で見栄えだけ整える応急処置を施します。
ヤスリで簡単に整えるだけなら、100円で紙ヤスリを買ってくれば2分で終了します。
コバの手入れも同時に行うことで、より美しく仕上げることも可能です。
やり方は以下の記事でそれぞれ解説しているのでご参照ください。
-
革靴のつま先が削れた時の治し方 応急処置の方法を解説
続きを見る
-
コバインキの使い方まとめ 革靴のコバを最高にキレイにする方法
続きを見る
ただし、これはあくまで応急処置です。
用事が終わったら、必ず他の修理も行うようにしてくださいね。
修理方法⑤ 靴底の全交換(オールソール)
ラバーソール対応 | 可 |
---|---|
レザーソール対応 | 可 |
費用 | 1万5000円~ |
所用時間の目安 | 1週間~ |
見た目 | ◎ |
ラバー・レザーでの補強やトゥスチールでの補強が不可能なほどに削れてしまった場合にやります。
オールソールするとなると、上記の表を見てもわかる通り
- 費用が跳ね上がる
- 所用時間も跳ね上がる
という感じで負担がかなり増えます。
できればオールソールが必要になる前に、他の修理を行ってほしいです。
一応オールソールしたときの体験談も記事にしているので、よろしければご覧ください。
-
靴買って初日にオールソール SUPER8SHOESさん、さすがっす
続きを見る
ちなみにつま先の削れが酷すぎる場合、「リウェルト」という修理が必要になる場合があります。
そうなるとオールソールのさらに倍の費用と期間が必要なのでご注意ください。
つま先の修理に出すタイミング
つま先の修理方法がわかったら、次は「いつ修理すればいいのか」がわかればOKですね。
ここでは「グッドイヤーウェルト製法」でつくられた革靴を例に説明します。
他の製法でつくられた革靴であっても、おおよそ一緒だと思って大丈夫です。
靴底が半分削れるまでには修理に出そう
上記の画像で赤く塗られている部分がソール(靴底)です。
この赤い部分が半分近く削れているようなら、すぐ修理に出しましょう。
この写真で、だいたいソールの4分の1~3分の1くらい削れてる感じでしょうか。
トゥスチールを付ける場合はこのくらいでもう付けちゃってよいと思います。
「ウェルト」が削れると費用が跳ね上がる
上記の画像で黄色く塗られている部分が「ウェルト」と呼ばれるパーツです。
寄ってみました。
画像だとわかりにくいですが、ソールとウェルトの境目に途中まで赤い点線を引いています。
靴底が2層に分かれているのがわかりますか?
肉眼だともっとわかりやすいんですが。
2層に分かれているうち、上がウェルト、下がソールです。
このウェルト、靴の上の部分とソールとを縫い付けるための「縫いしろ」の役割を持っています。
小学校の工作の授業で、「縫いしろ」を切り取ってしまって組み立てるのが不可能になる男子、だいたいクラスに1人はいましたよね。
このウェルトが削れてしまうと、オールソールやリウェルトといった大がかりな修理が必要となり、費用が跳ね上がるので注意しましょう。
そもそも修理が不可能になるケースも
つま先の削れだけで修理ができなくなることは稀ですがあります。
- アッパー(靴の上の部分の革)が削れて穴が開いた場合
- インソール(靴の内部)が削れて穴が開いた場合
これらのケースは修理自体を断られることが多いかと思います。
こうなる前に、なるべく早めに修理に出すようにしましょう。
まとめ:つま先の削れは放置厳禁、修理は早めに出そう
革靴を履いてると一番最初に困るのがこの「つま先の削れ」じゃないでしょうか。
ぼくも初めての革靴修理はつま先の削れの補修でした。
結構放置しがちですが、そのまま履いてると革靴が台無しになるリスクもあるので気を付けましょう。
今回の記事の内容をまとめると
結論
- 放置はまずいので修理が必要
- 修理方法は応急処置も入れて5通り
- ゴム製靴底ならゴムで補強、革製の靴底ならトゥスチールで補強がオススメ
- ソール(靴底)が半分削れるまでには修理に出す
- 手遅れの場合は靴底の全交換。費用が跳ね上がるので早めに修理に出そう
こんな感じ。
大切な革靴を長く履くためにも、つま先の削れには注意を払ってなるべく早めに修理に出すようにしてください。
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