こんな方のために革靴のお手入れ歴10年のぼくが初心者向けに基本的な靴磨きについて解説します。
この記事でわかること
- 初心者向けの靴磨きのポイント
- 具体的な初級者向けのやり方
- 靴磨きの頻度など初心者が悩みがちなこととその解決策
より丁寧な中級者以上向けの靴磨きについて知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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【中級者以上向け】革靴をより長持ちさせる靴磨きの方法を解説する
続きを見る
靴磨きについて必ず知っておくべき3つの基本知識
まずは初心者が絶対に知っておいた方がいい靴磨きの基本知識をご紹介。
基本① 起毛レザーの革靴に靴磨きは不要
革靴に使われる革は、仕上げの違いによって4つに分かります。
革靴に使われる4つの革
- スムースレザー
- パテントレザー
- グレインレザー(型押しレザー)
- 起毛レザー(スエード、ヌバック、etc)
このうち、起毛レザー以外は靴磨きが必要です。
起毛レザーの見分け方は超簡単。
こんな感じで、表面が毛羽立ってたら起毛レザー。「表面が毛羽立ってる革靴以外は靴磨きが必要」と覚えてください。
ちなみに起毛レザーは靴磨きは不要ですが、その他のお手入れが必要です。やり方は以下の記事で解説してます。
-
スエード靴の普段のお手入れと困ったときの対処法まとめ
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基本② 靴磨きはスキンケア〜ベースメイク
革靴のお手入れは女性が行う肌のお手入れにしばしば例えられます。
その中で靴磨きは
- お肌の調子を整えるスキンケア
- 自然な化粧を施すベースメイク
(ナチュラルメイク)
の工程に該当します。これ、キレイな肌をキープするにはめっちゃ重要な工程ですよね。
基本③ 靴磨きの工程は大きく分けて3段階
靴磨きは大きく3つの工程に分かれます。
靴磨きの3つの工程
- 汚れ落とし
- 栄養補給
- 磨き上げ
工程1 清潔さを保つための汚れ落とし
汚れ落としは革靴の清潔さを保つために行います。
この工程でやること
- 馬毛ブラシでのブラッシング
- クリーナーでの拭き上げ
工程2 革の状態を維持するための栄養補給
栄養補給は革が水分・油分が失って乾燥するのを防ぐ目的で行います。
この工程でやること
- 靴クリームを塗る
工程3 革靴の美しさを引き出す磨き上げ
靴クリームを塗っただけでは革靴の美しさは引き出せません。磨くことで初めて輝きを放ちます。
この工程でやること
- 豚毛ブラシでのブラッシング
- 布での磨き上げ
- 馬毛ブラシでの仕上げのブラッシング
初心者向け靴磨きに必要なもの
乳化性の靴クリーム
ポイント
- 種類は「乳化性」
- 価格は1000円前後
- どのメーカーでもOK
- 無色、または靴の色と同じか少し薄め
革靴への栄養補給が主な役割です。
無色ならどんな靴にも使えるのでそこから始めるのも良いと思います。
乳化性靴クリームは星の数ほどあるので、どれを選べばいいかわからないという方は過去記事「オススメの靴クリーム一覧」を参考にしてください。
馬毛ブラシ
ポイント
- 馬の毛
- 1つあればOK
- 価格は1000円~
馬の毛で作られたブラシです。主な役割はホコリ落としや仕上げのブラッシング。
馬毛ブラシは靴磨きの最重要アイテムです。予算に合わせて納得のいくブラシを選んでください。
「【予算別】オススメの馬毛ブラシ一覧」が参考になるかと思います。
豚毛ブラシ(化繊ブラシでも可)
ポイント
- 化繊ブラシでもOK
- 色ごとに別のものを用意
- 価格は500~1000円前後
塗った靴クリームを伸ばしてなじませるのに使います。
豚毛ブラシは使いたいクリームの色ごとに別のブラシを用意してください。
ただし極端に細かく分けなくても大丈夫。
小野の豚毛ブラシ使い分け
- 無色
- 黒
- 濃い茶
- 薄い茶
- バーガンディ(赤茶)
ぼくはこのくらいで分けてます。
豚毛ブラシは探せば安くて質が良いものが見つかります。「【予算別】オススメ豚毛ブラシ一覧」を参考にしてください。
クリーナー(汚れ落とし)
ポイント
- 靴の汚れ落としに使う
- 最初は水性がオススメ
- 価格は1000~2000円
靴の汚れや、前回の靴磨き時の余分な靴クリームを落とすのに使います。
クリーナーによって得な使い道が違うので、「用途・目的別オススメ革靴クリーナー一覧」を参考にしてください。
シューキーパー(シューツリー)
ポイント
- 目的は靴の型崩れ予防
- 木製のやつがオススメ
- 価格はは2000~6000円
革靴の型崩れの予防のために使います。
靴磨き中だけじゃなく、革靴を履いてないときは常に入れておくのがオススメ。
ぼくのオススメは2000円代くらいの安いシューツリーを買うことです。
「【予算別】オススメのシューキーパー一覧」でいろいろ紹介しているので、参考にしてください。
布(綿100%)
ポイント
- 綿100%の布
- 価格は0~500円
- 洗えば何回も使える
使い古したTシャツを切って使うといいです。
余分なクリームを除去したり、磨き上げるのに使います。
15分でできる!初心者向けカンタン靴磨きのやり方
それではいよいよ、基本となる靴磨きのやり方をご紹介。
記載の時間は両足を磨くのに必要となる時間の目安です。
手順① 靴ひもをほどき、シューキーパーを入れる【1分】
ポイント
- 靴紐を外す
- シューキーパーを入れる
- 内羽根式なら一番下の紐は通しておく
磨くとき邪魔になるので、靴ひもはほどきましょう。
そのうえでシューキーパーを入れてください。
内羽根の靴は靴紐を全部取らない
今回のように内羽根式の靴の場合、すべて外さず一番下だけ靴ヒモを通しておくのがポイントです。
内羽根式の靴は靴ヒモの装着時に無理な力が入りがち。一番下だけ通しておけば、後から装着しなおすのが楽です。
手順② 馬毛ブラシでブラッシング【3分】
ポイント
- 手を大きく使う
- 力を入れ過ぎない
- 細かいスキマは入念に
馬毛ブラシでブラッシングします。
手を大きく振ってブラッシングするのがコツです。
- アッパーと靴底の境目
- 羽根の裏側
- 縫い目
こういうホコリが溜まりやすい部分は特に丁寧にブラッシングします。
ちなみに靴を置いてブラッシングしてるのは片手てカメラを持ってるからです。
手順③ クリーナーで汚れを落とす【2分】
ポイント
- 布を指に巻く
- 10円玉大に染み込ませる
- 力は入れず優しく拭きあげる
- 布が汚れたらこまめに巻きなおす
量としては10円玉くらいの大きさで染み込めばOKです。
ゴシゴシやると革へのダメージになります。
このくらい汚れたら、布のキレイな部分が当たるよう巻きなおしてください。
これを繰り返し、靴全体を拭き上げたら汚れ落とし完了です。
輝きが減ってマットな印象になっていますね。
クリーナーの使いすぎはNG
クリーナーを使いすぎると靴本来の色味まで損なうことがあります。
多くても全体を2回拭き上げるくらいで十分です。
手順④ 靴クリームを塗る【2分】
ポイント
- 指先に少しだけつける
- 薄く少量ずつ塗ることが最重要
- 負荷が強く入る部分は丁寧に塗る
いよいよ靴クリームを塗っていきます。指に軽く靴クリームをつけて、塗り込みます。
1回に取る量はこれくらい。指先に少しだけ乗る程度で十分です。
で、塗っていきます。ヌリヌリ
指の滑りが悪くなったら、再度靴クリームを指先につけて続きを塗ります。
あくまで薄く少量ずつ塗ることを意識してください。
革靴への負荷が高い履きジワ周辺はより丁寧に塗ると良いです。
塗り終わるとこんな感じ。
手順⑤ 豚毛ブラシでブラッシング【3分】
ポイント
- 毛穴に刷り込むイメージ
- 力を強く入れてゴシゴシ磨く
- スキマ部分は特に丁寧にやる
豚毛ブラシでブラッシングします。
ここから徐々に光沢が出てきます。
馬毛ブラシと同じく、手を大きく使ってブラッシングしましょう。
豚毛ブラシは少し力を入れてゴシゴシやる感じで丁度いいです。
こういうスキマもしっかりとブラッシングしてください。
で、ブラッシングし終わったのがこちら。
クリーナーで汚れ落としをした状態と比べると、光沢がぜんぜん違うのがわかると思います。
手順⑥ 綿100%の布で拭きあげる【2分】
ポイント
- 力を入れない
- 表面を撫でるように
- 布が汚れたら巻きなおす
綿100%の布を使って拭きあげます。
キレイな布を指に巻きつけて下さい。
で、拭きあげる。
力を入れず、上を撫でるように拭くのがコツです。
つけすぎた靴クリームが取れて、少し布に色が付きます。
全体を磨き終わったのがこちら。
布で拭き上げる前と比較しましょう。
豚毛ブラシでのブラッシングのみの時は「じんわり」とした光り方をしています。
一方、布で磨き上げた方は強い光沢を放ってますね。
手順⑦ 馬毛ブラシで仕上げのブラッシング【2分】
ポイント
- 手を大きく使う
- 力を入れ過ぎない
- スキマ部分は特に丁寧に
仕上げは再び馬毛ブラシでのブラッシングです。
ホコリ落としの時と同様に、手を大きく使って優しくブラッシングしてあげてください。
これで靴磨きとしては完了です。
布で磨き上げた直後と比較してみましょう。
布で磨き上げた直後より、さらに光沢が出て強く光っていることが見て取れます。
クリーナーで汚れを落とした直後と完成後を比較
最初のクリーナーで拭き上げた直後と、完成した後を比較してみましょう。
【初心者向け】靴磨きのよくあるお悩み
靴磨きはどのくらいの頻度でやればいい?
靴磨きの頻度
- 10回履く
- 前回磨いてから3ヶ月経過
のどちらか早い方
履く頻度が3日に1回なら1ヶ月に1度、10日に1回なら3ヶ月に1度です。
その他の革靴のお手入れの頻度は下の記事にまとめています。
-
【永久保存版】目的別・革靴の手入れ内容と頻度を総まとめ【月イチ?】
続きを見る
1回の靴磨きにかかる時間は?
1足15分前後です。慣れるまでは20~25分くらいかかるかもしれません。
靴磨きを始めるのに必要なお金は?
靴磨きを始めるのに必要なお金
- 乳化性靴クリーム:1000円
- 馬毛ブラシ:1000円
- 豚毛ブラシ:1000円
- クリーナー:1000円
合計:4000円
最低限の靴磨きはこの通り、4000円もあれば余裕で始められます。
これにシューキーパーを購入すると、2000~3000円前後追加で必要です。
ダイソーの靴クリームやブラシでも使えないことはないので、もっと節約することは可能です。
靴磨きセットでおススメはある?
上記の通り、個別にそろえても4000円前後で購入できます。
靴磨きセットに付属のブラシがショボすぎなので、個人的には個別に購入するのがオススメです。
しいてオススメするなら、銀座大賀靴工房のものは購入してもいいかもです。ポリッシンググローブが入ってたり、クリームもサフィールやモゥブレイの有名どころが入ってたりするので。
新品の革靴も磨くべき?
新品の革靴はとても乾燥している状態にありますので、一度靴磨きをしてから履き始めることを強くオススメします。
初めて履く前のお手入れのことを「プレメンテ」といい、下の記事にやり方をまとめているので参考にしてください。
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【必須】革靴を履く前の正しい「プレメンテ」のやり方【寿命が延びる】
続きを見る
インスタやツイッターで見るような、もっとピカピカの状態にはできないの?
あれは「鏡面磨き(シューシャイン)」という技術を使って光らせてます。
この記事で紹介した方法だけであそこまで光らせることはできません。やり方は「初心者でもできる鏡面磨きのやり方」を参考にしてください。
靴クリームを塗っておけば雨にぬれても大丈夫?
靴クリームはあくまで栄養補給のためのものです。
雨に濡れる可能性があるなら、追加で防水スプレー(撥水スプレー)を使用するのをオススメします。
もっと丁寧な靴磨きの方法はあるの?
今回ご紹介したのはあくまで初心者向けの基本的な靴磨きです。
中級者以上向けの靴磨きについては以下の記事で紹介しています。
-
【中級者以上向け】革靴をより長持ちさせる靴磨きの方法を解説する
続きを見る
まとめ:靴磨きは大変です。が、少しやるだけで靴は輝きますし長持ちします
ぶっちゃけ、靴磨きとか面倒ですよね。
ぼくも昔はそうでした。
でも靴磨きって、少しやるだけで革靴が光沢を放ちますし、何より潤いが戻ってキレイな状態で長持ちします。
そこに楽しさを感じていただけると嬉しいです。そうすると、徐々に革靴が好きになってきます。
ぶっちゃけ今回のような手順の多い靴磨きよりも、日常のお手入れの方がずっと大切です。
-
【毎日1分】革靴で最重要な手入れ方法&理由を解説
続きを見る
でも、たまにこういった靴磨きなどのお手入れも大切です。「革靴のお手入れと頻度まとめ」の記事でその他のお手入れについても解説しています。
ぜひ今度の休日は、今回の記事を参考に靴磨きをしてみていただけるととてもうれしいです。
ちょっと宣伝革靴紳士にAmazonプライムは必須って話
革靴紳士なら「ああああああこのクリーム使ってみたいぃぃ」とか「中華料理屋で油垂らしちまったぁあ゛」とかあると思うんです。
そんな時、Amazonプライムに加入してさえいれば、必要なケア用品が早くて翌日に手に入りますからね。
他にも
Amazonプライムのその他メリット
- Prime Musicでジャズ聴きながら靴磨き
- Prime Videoで映画流しながら靴磨き
- Prime Readingで靴&服の情報収集
こんな使い方ができまして、紳士としては必須の嗜みです。まだ加入してないって少しキツイので、まだの方はぜひご検討ください。今なら30日間の無料体験が付いてくるので、(ありえませんが)万が一気に入らなければその間に退会すればOKです。