革靴のプレメンテ
- 汚れを除去
- 水分補給
- 油分補給
これら1つ1つの工程をどのくらい力を入れてやるか。それがポイント。
ぼくは革靴の手入れを始めて10年超。
初めて買った革靴も、10年の時を超えて現役です。
今回はそんなぼくが、これまでの経験を踏まえて革靴を履き下ろす前のプレメンテについて完全解説します。
革靴にプレメンテが必要な2つの理由
プレメンテは買った革靴を履く前に行うお手入れのことです。
革靴にまだ慣れていない方は、100%思うはず。
しかし、逆に最も手入れが必要なタイミングが買った直後なんです。
プレメンテが必要な2つの理由
- 汚れてるから
- 乾燥しているから
順番に解説します。
理由① 汚れてるから
- クリームやワックスが付着
- ホコリや繊維が溜まっている
- これらの汚れがダメージになる
高い革靴ほど出荷時にクリームやワックスなどで靴磨きされてます。見栄えを良くして売れやすくするためです。
そのままではクリームを塗っても浸透しません。革に酸化によるダメージも入ります。
こうした古いクリームなどの除去が目的の1つ。
また靴の内部には繊維やホコリが溜まっている場合もあります。特に中古革靴の場合は要注意。
ホコリなどは乾燥の原因なので取り除きましょう。
それと一緒です。
理由② 乾燥しているから
- 乾燥は最大の敵
- 各種トラブルの原因
- 革靴に起きる問題の原因は大体これ
革靴は出荷されてから買われるまで基本的に手入れされていません。ですので購入直後の革靴はびっくりするくらい乾燥しています。
乾燥によるトラブル例
- クラックの発生(革のひび割れ)
- 雨など水分によるシミの発生
- 不自然な履きシワがつく
革靴が乾燥しているとこういった困りごとが高確率で発生します。
起毛レザーの場合は違う手入れが必要
今回紹介するのはスムースレザーの革靴のプレメンテです。
写真のような、毛羽立った素材(起毛レザー、スエードやヌバック等)で作られた革靴の場合は別の手入れが必要。
その場合はこちらの記事を参考にしてください。
革靴のプレメンテに必要なもの
それでは、ここからいよいよ具体的な革靴のプレメンテについて解説します。
プレメンテに必要なもの
- 馬毛ブラシ
- 豚毛ブラシ
- 綿100%の布
- 油性クリーナー
- 保湿用クリーム
- 油性靴クリーム
- 歯ブラシとウェットティッシュ
- シューキーパー(シューツリー)
道具① 馬毛ブラシ
- ホコリ除去に使う
- 革靴の手入れのマストアイテム
- 革靴を買ったら1本は持っておけ
1000~2000円もあれば購入できます。オススメは以前こちらの記事で紹介しました。
道具② 豚毛ブラシ
- クリームをなじませる
- 靴磨きでも使うから持っとけ
500円から購入できます。こちらもオススメを予算別に紹介しているので、まだ持ってない場合は参考にしてください。
道具③ 綿100%の布
- 拭き上げ・磨き上げに使用
- 着古したTシャツの切れはしでOK
道具④ 油性クリーナー
- 古いクリーム等の除去に使用
- レーダーオイルなら油分補給も
オススメのクリーナーは以前こちらの記事で紹介しました。
オススメはタピールのレーダーオイル。油分補給も同時にできるので、革がモッチリ&シットリに仕上がります。
それ以外なら、BootBlackのツーフェイスローションも油性の汚れがしっかり落ちるのでいい感じです。
道具⑤ 保湿用クリーム
- 水分補給に使用
- 水分が多めのデリクリがオススメ
個人的なオススメはチャンバレンレザーミルクのレザーケアリニメントです。お前がNo.1だ。
ただあまり売ってないので、水分が多めのデリケートクリーム(デリクリ)ならOKです。M.モゥブレイのデリケートクリームが安くて性能が良い。
クリームについてはこちらでオススメを紹介しています。参考にしてください。
道具⑥ 油性靴クリーム
- 無色は必須
- お好みで色付きも用意
- 汚れ除去と油分補給に使用
オススメはサフィールノワールのクレム1925です。
ニュートラル(無色)は必須。
プレメンテの場合は無色だけでOKです。
ただし好みの問題ですので、色付きクリームで磨きたければ別で用意しましょう。
こういう方は油分補給のためにオイルを用意してください。上で解説した通り、油性クリーナーにタピールのレーダーオイルを使えばOKです。
道具⑦ 歯ブラシとウェットティッシュ
- 靴内部のホコリ除去
- 歯ブラシじゃなく割箸でも可
歯ブラシは細かいホコリや汚れを掻き出せるのであると便利。
道具⑧ シューキーパー(シューツリー)
- 型崩れ防止
- 常に入れとく
- 木製を選ぶのがベター
型崩れの防止のため、磨いてる最中はシューキーパーを入れます。
履いてないときは常に入れておくものですので、革靴と同じ数そろえるのがベスト。
革靴のプレメンテのやり方
それではいよいよ、具体的なプレメンテの手順を解説します。
革靴のプレメンテの手順
- 馬毛でブラッシング
- 靴内部の汚れを除去
- 油性靴クリームで拭き上げ
- 油性クリーナーで拭き上げ
- 保湿クリームで水分を補給
- 油性靴クリームで油分を補給
- 豚毛ブラシ&布で磨き上げる
- (おまけ)ソールにオイル補給
今回磨くのはこちらの記事でも紹介した、ヴィンテージのフローシャイム。相手にとって不足なし!
≫ 最強にかっこいい60年代フローシャイムをデッドストックで入手した話
手順① 馬毛でブラッシング
- 靴紐を外す
- シューキーパーを入れる
- 細かい部分は特に丁寧に
靴紐を外し、馬毛ブラシでブラッシングします。
靴底との境目の部分など、ホコリがたまりやすそうな場所は念入りにブラッシングしてください。
馬毛ブラシのブラッシングのコツ
- 力を入れない
- 優しく表面を撫でるように
- 手を大きく使ってブラッシング
シャカシャカと手を小刻みに動かすのではなく、こうった磨き方をするとうまくいきます。
手順② 靴内部の汚れを除去
- ウェットティッシュで中を拭く
- 歯ブラシを使うと奥まで拭ける
使い古しの歯ブラシ(または割りばし等)にウェットティッシュを巻きつけ、奥の方まで中を拭き上げます。
特に中古靴の場合は丁寧にやりましょう。
こんな感じで、汚れが付着すると思います。
手順③ 油性靴クリームで拭き上げ
- 油性クリームで汚れを浮かす
- 布で汚れを拭き取る
- ワックス落としも可
今回プレメンテしている靴は鏡面磨きされていません。しかし特に高い靴ほど、購入時にワックスで磨かれています。
鏡面磨きされていると、こんな感じでつま先や踵などがテカテカ光ってます。これを落とさないと、肝心の水分や油分が革に浸透しません。
クレム1925を少し布に取り、鏡面部分を撫でるように拭き上げてください。力の入れ過ぎは革への負担が大きいので、あくまで優しくやります。
何度か繰り返すと、こんな感じで古いワックスが落ちます。
向かって左(右足)が鏡面が残っている方、右(左足)がクレム1925で拭き上げた方です。光沢が弱まっているのが見て取れます。
手順④ 油性クリーナーで拭き上げ
- 力の入れ過ぎはNG
- クリーナーは少量でOK
- 終わったら1日放置がベスト
クリーナー(レーダーオイル)を布に取ります。
こんな感じでやるとちょうどいい量が取れます。クリーナーが10円玉大に浸み込めばOKです。
ゴシゴシやると逆に革靴にダメージが入ります。
あくまで優しく、撫でるように拭くのがコツです。
新品の靴でもこのくらいは汚れが落ちます。
ここから先は翌日に回すのがベスト
タピールのレーダーオイルを使うと、この時点でかなりの油分が革靴に補給されます。
油分をなじませるために、できる限り時間を置いてください。
最低でも2~3時間、できれば1日放置してなじませます。
手順⑤ 保湿クリームで水分を補給
- 革全体に薄く塗り込む
- 乾燥がひどければ2度塗りもあり
- 出来れば1日放置してなじませる
保湿用クリームを靴に塗ります。靴の内側(ライニング)も含め、革が使われている部分すべてに塗り込みます。
今回の靴の場合は、この画像の黒い部分は全部革。
ここから先はさらに翌日に回すのがベスト
水分をなじませるため、可能な限り時間を空けてください。
最低2~3時間、できれば1日放置がベストです。
二度塗りする場合
塗る(1回目)
→ 2~3時間放置
→ 塗る(2回目)
→ 1日放置
乾燥がひどければ、こんな感じで二度塗りするのもあり。
手順⑥ 油性靴クリームで油分を補給
- 自分が思ってる3倍は薄く塗る
- 無色のクリームだけでOK
- 足の甲の部分は丁寧に
指にほんの少しクレム1925を取り、塗っていきます。
素手で塗ると、体温が加わりクリームが浸透しやすくなるのでオススメ。
ここで塗るのは「手順③ 油性クリームで拭き上げ」で使用した無色のやつでOK。好みに応じて色付きのクリームを使ってください。
手順⑦ 豚毛ブラシ&布で磨き上げる
- 豚毛でクリームをなじませる
- 布で磨き上げて光沢を出す
- 余分なクリームも除去
仕上げに、豚毛ブラシでのブラッシングと布での磨き上げを行います。
この辺は通常の靴磨きと同じなので、下記の記事も参考になります。
豚毛ブラシでブラッシング
豚毛ブラシでのブラッシングのコツはこんな感じ。
豚毛ブラシでのブラッシングのコツ
- 力を入れてゴシゴシと
- 細かい部分は特に丁寧に
- 毛穴に刷り込むイメージ
クリームを革の奥まで塗り込みます。余分な靴クリームを除去する働きもあるので必ずやりましょう。
布で磨き上げる
布で磨くことで、豚毛ブラシでも取れなかった余分なクリームを除去できます。
さらに光沢が出る効果もあるので、仕上がりが断然きれいになる。
(おまけ)ソールにオイル補給
- 革製靴底の場合のみ
- 専用のオイルが必要
プレメンテする革靴がレザーソール(革製靴底)なら、ソールのケアも必要です。
やり方は以下の記事で詳しく解説しています。
プレメンテ以外で気を付けるべきこと
- トゥスチールの装着
- ハーフラバーの装着
どちらも長持ちさせるには必要なことです。自分の歩き方や、好みにもよって正解は異なります。
こちらの記事をそれぞれ参考に、検討してみてください。
≫ 4つの質問で分かるハーフラバーの必要性と貼るべきタイミング
新品の革靴に関するよくある疑問
最後に、新品の靴に関してよくある疑問点をまとめます。
新品の革靴のよくある疑問
- プレメンテは本当に必要?
- 皺入れの儀式は必要なの?
- プレメンテと靴磨きの違いは?
- 防水スプレーは使った方がいい?
- ハーフラバーは貼った方がいいの?
- トゥスチールは付けた方がいいの?
- スエードの靴にもプレメンテは必要?
- ソールは手で折り曲げた方がいいの?
- レザースニーカーにもプレメンテは必要?
プレメンテは本当に必要?
革靴は購入直後が最も乾燥しています。
その後の重大なトラブルを避けるためにも、まずは手入れをしてから履いてください。
皺入れの儀式は必要なの?
好みの問題です。
「コードバンの革靴だけはやる」という方も多い。
プレメンテと靴磨きの違いは?
普段の靴磨きでは、古いクリームをすべて落とす必要は無かったりします。
最初の手入れであるプレメンテでは、汚れ除去・水分補給・油分補給を各工程でしっかり意識して丁寧に行います。
防水スプレーは使った方がいい?
スエード靴は防水スプレーの使用にデメリットが無いので使っておきましょう。
スムースレザーの場合、防水スプレーを使うと光沢が弱まり曇った印象になることが多いです。
雨の日にも気にせず履くなら使った方がいいです。そうでなければお好みで。ぼく個人としては使ってません。
ハーフラバーは貼った方がいいの?
ハーフラバーを貼った方が圧倒的にソールが長持ちします。
しかしオリジナルの履き心地は失われるので、たまにしか履かないなら貼らなくてOK。こちらの記事を参考に検討してください。
≫ 4つの質問で分かるハーフラバーの必要性と貼るべきタイミング
トゥスチールは付けた方がいいの?
特にぼくのように、つま先が削れやすいという方は絶対につけてください。
付けるタイミングは「買ってすぐ」「ハーフラバーと一緒に」のどちらか。下記の記事を参考にしてください。
スエードの靴にもプレメンテは必要?
スエード靴の場合はブラッシングと栄養スプレーのみでOK。下記の記事を参考にしてください。
ソールは手で折り曲げた方がいいの?
不自然なクセがつくこともありますし、やりすぎると履き心地を損ないますのでやらなくてOK。
最初は堅くて歩きにくいかと思いますが、頑張ってください。ソールに自然な返りが付くのを待ちましょう。
レザースニーカーにもプレメンテは必要?
スニーカーといえども、革が使われていることは同じ。プレメンテをした方が圧倒的に長持ちします。
まとめ:履き下ろす前にプレメンテをしよう
革靴のプレメンテ
- 汚れを除去
- 水分補給
- 油分補給
革靴のプレメンテではこれら3つの作業が必要です。
革靴が乾燥した状態で履き始めると、クラックなどより大きなトラブルを招くことが多い。だからこそ最初が肝心。革靴は必ずプレメンテしてから履くようにしてください。
またプレメンテをしっかりやっても、足に痛みが出ることがあります。
原因によって対処法が違うので、そういう場合は以下の記事を参考にしてください。
ちょっと宣伝革靴紳士にAmazonプライムは必須って話
革靴紳士なら「ああああああこのクリーム使ってみたいぃぃ」とか「中華料理屋で油垂らしちまったぁあ゛」とかあると思うんです。
そんな時、Amazonプライムに加入してさえいれば、必要なケア用品が早くて翌日に手に入りますからね。
他にも
Amazonプライムのその他メリット
- Prime Musicでジャズ聴きながら靴磨き
- Prime Videoで映画流しながら靴磨き
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こんな使い方ができまして、紳士としては必須の嗜みです。まだ加入してないって少しキツイので、まだの方はぜひご検討ください。今なら30日間の無料体験が付いてくるので、(ありえませんが)万が一気に入らなければその間に退会すればOKです。